行政マンのダウン症育児日記(20:2006/3/22記)

成長をお祝いしよう

 

  今日の夕食は、野菜たっぷり味噌汁に、黒米入りご飯、春巻と鯖のうす塩焼きに、おみ漬け。歩は味噌汁に入っているキャベツとおふが気に入ったようで、集中的に口に運んでいる。ご飯を食べる勢いもいいペースだ。

 と、はやくもお腹がいっぱいになったのか、こちらはまだ半分も食べていないのに、料理で遊び始めた。お皿の中をグチャグチャかき回す程度はまだ許容範囲だが、キャベツをつかんで床に投げ始めたところで、アウト。その時点で歩の夕飯は終了となった。

 目の前にある皿を片付けて、顔と手を拭いてやる。と、口をしっかり閉じて、うん、うん唸りはじめた。

 食卓でふんばるとは、なんて奴!いや、久しぶりの大物登場を喜ぶべきか?それにしても、こっちはまだ食ってるって言うのに…。で、こちらも食事を終えてオムツを開いてみると、小指の先ほどのものがひとつあるだけ。あれだけ大げさに力んで、こんな小さなものひとつとは、こっちも拍子抜けだ。まだまだ腹筋が弱いんですねえ。

 

 さて、次に並んでいる数字は何をあらわしているのでしょうか?

 7.2、7.3、7.6、7.1、7.2、7.5、……

 正解は、4月からの歩の月ごとの体重。そう、1歳という一般には体重が飛躍的に増える時期に、歩の体重は7キロ台をうろうろしつづけたのでした。そして2月、とうとう念願の8キロ台に突入!やったね!本当に嬉しくて、何度も体重計に乗りなおしてみる(歩一人では計れないので、歩を抱いて一緒に計り、その後自分の体重を計ってその値を引く。その間もじっとしていられないので、抑えるのがひと苦労)。確かに大台を越えている。なんと8キロに到達するのに、1年近くかかったことになる。でもいいんです。ゆっくりだけど、着実に成長しているのが分かるから。

 

 歩の最近のお気に入りは、絵本を読むこと。正確には読んでもらうことだ。誰しも懐かしい絵本の1冊や2冊はおありのことと思うが、彼にとってこの絵本がその1冊になることは間違いない。題名は「ねないこだれだ」、せなけいこ作・画、1969年に初版が出ていて、現在なんと第130刷まで来ている。

 内容の説明をする代わりに、1ページ目からそらんじてみよう。

 

 「とけいがなります ボン、ボン、ボン

  こんなじかんに おきているのは だれだ

  ふくろうにみみずく

  くろねこどらねこ

  いたずらねずみ

  それともどろぼう…

  いえ、いえ、よなかはおばけのじかん

  あれ、あれ、あれれ

  よなかにあぞぶこは おばけにおなり

  おばけになって とんでいけ

  おばけのせかいに とんでいけ」 おしまい

 

 げげーっ。全部覚えている…。一応答え合わせをしてみると、最後の2ページ分を逆に覚えていただけで、あとは完璧!われながらすごい記憶力というべきなのか…。どれだけ繰り返し読まされているかが、ご想像いただけたかと思う。

 で、なぜこんなに読まされているかというと、歩が最近覚えたあるしぐさが原因だ。絵本を読み終わると、もう1回とねだるのは子どもの常道だが、歩はまだ言葉が話せない。そこで「うん、うん」とか、「あっ、あっ」とか、言いながら絵本を押し付けてくるのだが、こちらも面倒くさくなって、適当なところでやめてしまう。

 ところが最近、保育園でこんな技を覚えてきた。

 絵本が終わるタイミングで、指を1本立てて「もう1回」と、こうくる。このしぐさがかわいいのと、まがりなりにも意思伝達手段として成立することもあって、気づくともう一度読まされているわけだ。そして終われば、指を立てて「もう1回」…。きりがないのだが、歩の「もう1回」が見たくて、何度も読んでしまうのです。ああ、エンドレス。

 

 そんな歩の成長を見越してか、2月に入り保育園から手紙が届いた。いわく「成長お祝い会のお知らせ」。なんでも、ひよこ組の仲間で、音楽に合わせて踊るのだという。さっそく両方のおじいちゃんおばあちゃんにも連絡をとり、当日のビデオも用意した。

 保育園の先生に、「ほとんど成長していないのに、参加させてもらってもいいんですか?」なんてぶつけた軽口も、結構楽しみにしていたからこそのものだった。(M先生ごめんなさい)。

 で、当日はどうだったかというと…。

 次回に続く。